第27章 告げられない想い/高尾*宮地
ただね、自分の中の「特別」を呪った。
俺の目はチームにとっては武器の一つになってたけど、自分にとっては凶器になった。
見えちゃうんだよ。
ちゃんを見つけた時、いつも視線の先にはあいつがいた。
それだけならさ、俺の方へ振り向かせるためにガムシャラになれば良かったのにね。
練習中に気を抜くことなんかないあいつが、たまにぼんやり遠くを眺めることが増えていった。
その先には、俺が大好きなあの子。
お互いを見ている時の目は、二人とも俺や周りに向けている時とは全く違う。
穏やかで、暖かくて、優しい目。
無理やりあいつにちゃんの名前を呼ばせた時も、二人とも見たことない表情だった。
「ほらー、真ちゃんもちゃんのこと名前で呼んでみなって!」
「…わかったのだよ。……。」
「…!……はい!」
滅多に表情を変えない真ちゃんが、顔を真っ赤にしていて。
ちゃんは、いつもの屈託のない笑顔とは違う、はにかむような柔らかい笑顔だった。
結構人事は尽くしたつもりだったんだけどね。
まだまだ甘かったみたいだわ。
真ちゃんがよく言う「運命なのだよ」ってことかよ、これ。
好き同士の二人だってわかっているのに、波風立てるのなんて…ごめんだわ。
きっと二人は気付いていない。
特に真ちゃんなんかそういう類いにはかなり鈍いだろうし。
だったら、この想いを閉じ込める。