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黒子のバスケ*Short Stories2

第26章 僕のものは君のもの*黒子*


「ありがとうございます。なんか…が普段使っているものをお借りするのって嬉しいです。」

あの時のテツくんの柔らかな表情を思い起こせば、よっぽど嬉しかったんだというのは明確だった。

「うん。じゃあこれはテツくんにあげる。」

私は先ほど受け取った紙袋をテツくんに返した。

私の言葉を聞いたテツくんは昨日と同じように優しい笑みを浮かべ、首に巻いていたマフラーを外した。

それを私の首にそっとかけて、テツくんと同じ巻き方で巻いてくれた。

「よく似合っていますよ。」

さっきテツくんを彩っていたマフラーが、今度は私を暖める。

ふわりと、鼻を掠めたのはいつもテツくんに近付くと香る柔軟剤の香り。

何だかテツくんがいつも側にいてくれるような、そんな気持ちで胸がいっぱいになる。

テツくんも昨日の帰りみたいに、私のマフラーを首に巻いた。

「…昨日これをして帰った時、何だかがいるように感じられて、すごく幸せだったんです。」

「…私もね、今同じこと思ったよ。」

テツくんが穏やかに笑みをこぼすから、私もにこりと笑みを返した。

手を繋いで、さっきの飴玉を口の中で転がし、お互いのマフラーを首にして歩く通学路。

学校へ向かう時間が、今日はいつもよりもっとふわふわとした優しい時間になった。

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