第24章 Merry Christmas!2013*実渕*花宮*
帰りがけに、「クリスマスプレゼント」とは言わずに、「いつもありがとう」という言葉を添えてプレゼントを渡した。
プレゼントを開けて、中に入っていた腕時計を取り出すと、少しだけ口許を緩めて黙って腕につけていた。
「お前にしてはセンスいいんじゃねぇの?」とお褒めの言葉を頂けただけでも、良しとするか。
それから再び歩みを進めて、もう私の家が見えてきた。
「真、送ってくれてありがとうね。また明日ね。」
手を振り、真に背を向け、家の門を開けようとした時。
後ろから腕を引かれて、真が私の体を抱き寄せた。
「…真?」
名前を呼んでも何も答えない。
こういう時、真は何も言わないんじゃなくて、気恥ずかしくて何も言えないというのは分かっている。
だから私が代わりに言葉にする。
「大好きだよ。」
その言葉が合図のように、真は私の両肩を掴み、唇を重ねた。
唇が離れると、真は私の頭に何かをこつん、と当てた。
「ついでだけど、やる。…じゃあな。」
彼の背中を見送りながら、手元に残った箱を見る。
…真が好きな少し高級な銘柄のチョコレートの詰め合わせ。
確か雑誌で見たけど、クリスマス限定のやつだ。
「…素直じゃないなぁ。」
こんな不器用な愛が、私にはツボなのです。