第2章 密かに知っていたあなたの癖*赤司*緑間*紫原
「ちん、この問題わかんない。」
「ん?あぁ、これはこっちにある公式に当てはめて…。」
敦は勉強できない訳じゃないけれど、数学とか物理はあまり得意じゃないみたい。
私は英語が苦手だから、敦に教えてもらったりもする。
(部活の先輩が帰国子女らしく、仲良くしてたら英語出来るようになったらしい。)
二人で教え合いながら問題を解き進めていく。
「…あー。俺もう無理ー。」
「私このページの問題だけやっちゃうから、ちょっと待ってて?終わったらお茶にしよっか。」
「わかったー。」
そう言うと、敦はごろりと私のベッドに寝転んで携帯をいじる。
じっと問題集とにらめっこする私。
…なんか視線を感じる。
「敦、なぁに?」
「別にー。」
ふいっと目を逸らして携帯画面に視線を落とす。
よし、あと1問。
ん?また視線が痛い。
「何ですかー?」
「別にー。」
敦の最近の癖。
かまってほしいくせに、別にって言う。
我慢させて悪いなって思うけど、逆にあの敦がそこまでしてくれてるのが何だか嬉しかった。
シャープペンを置いて、寝転がる敦に抱きついた。
「全部終わったのー?」
私を優しく抱き締めて、頭をぽんぽんって触れてくれた。
「私も休憩。疲れちゃったから、敦にぎゅってしてもらいたくなったの。」
「あー。オレやっぱちんぎゅってするの好きだわー。」
彼のかまってほしいサインが可愛いから。
思う存分甘えられるから。
我慢しなくていいんだよ?って言うのはもう少しだけ先にしよう。