第20章 君に呼ばれるとなぜか*小金井*
「あ…そう、なんだ。」
俺の自惚れじゃなかったら、目の前のは少し悲しそうな表情で、ぱっと俺から目を逸らした。
意識してない相手に好きな人がいても、こんな態度は取らないと思う。
自覚したばっかりの今、言うべきか言わないべきか。
…ここで言うのが男だろ!
「俺の好きな子、だよ。」
「…え?」
目を丸くしながらは俺を見て、何だか動揺している。
「…嘘じゃないよね?」
は口をぽかん、と開けて、信じられないと言わんばかりの顔をしている。
「当たり前でしょ!…ただ、さっき自覚したばっかり。」
「…私は入部してからずっとコガくんが好きだったよ。」
今までで一番可愛い笑顔で、そんな言葉を言われたら抱き締めたくなるに決まってる!
ぎゅっとを抱き締めると、思ったよりもずっと華奢で小さいことに少し驚いた。
今日「呼び名を変える」っていう一歩を踏み出してくれた彼女にもう一つだけお願いした。
「出来れば俺のこと名前で呼んでくれない?」
「…慎二くん、でいい?じゃあ私のこともちゃんと名前で呼んで?」
「…ちゃん。あー!恥ずかしい!」
「私だって相当恥ずかしかったんだから!」