第19章 浮いて沈んで、また浮いて*日向*
ただ今テンション急降下中。
原因は5分前の順平からの電話。
「わりぃ、。今日仕事が長引きそうで、夜会えないわ。」
社会人の言い訳の決まり文句を口にして、電話越しの彼は約束をキャンセルした。
確かに、「出来るだけ頑張るけど、あんまり期待すんなよ。」って言われたけど。
それでも、今日この日のデートのお誘いはどこか良い方へ期待させた。
しかも彼は普段自分から中々そんなことを言わないので、より一層降り幅は大きく、うきうきしながら一日を過ごしていた。
「…うん、わかった。」
「怒んなって…。」
「別に?怒ってないよ。」
怒ってはない。拗ねてるだけ。
そんな私の様子を声だけで感じとったのか、電話越しの彼もどこか呆れている。
「ダアホ。…認めなくてもわかるっつーの。」
「じゃあ次の会うのは明日の夜だよね?…じゃあ、またね。」
「…あぁ。また明日な。」
電話を切っても苛立つ気持ちを抑えきれず、重い足取りへ家路へと着いた。