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黒子のバスケ*Short Stories2

第18章 次のピアス*黄瀬*


今日は珍しく彼と休みが重なった。

昨日の夜から泊まりがけで彼のお家にお邪魔している。

ゆっくり一緒にいられるのは久しぶりで、前は少し鬱陶しかった彼の構ってちゃんも愛しく感じられるようになった。

ソファに座って雑誌の1ページを見つめている私の元に、彼は台所からマグカップを持ってきてくれた。

「っち、どうぞ。熱いから気を付けてね。」

「あ、ありがとう。」

ふわん、と甘いココアの香りが鼻を掠めた。

雑誌をテーブルに置いて、温かいココアに口をつけた。

「真剣に何見てたんスか?」

私の隣に腰掛けた彼が、雑誌を手にページをパラパラめくる。

「んー、とね。あ!このページ!このピアス可愛いなと思って。」

私が指差したのは二つのピアスが繋がったようなデザインのゴールドのピアス。

白い花やキラキラしたストーンがあしらわれていて、とても心を惹かれた。

「うん。っちに似合いそうっスね!俺もこういうの好き。」

「でも、私1つずつしか空いてないからなぁ。片耳だけもう1つ開けようかな…。」

大学デビューという名目で、卒業と同時にピアスを開けた。

ずっと涼太の左隣で、彼の左耳に光るリングピアスに密かに憧れていた。

「っち、開けるならちゃんと病院行って!自分でなんて危ないからダメっス!」

「お母さんか…。まぁ、恐くて自分では出来ないから安心して。」

私に対して少しばかり過保護な彼だけど、そういう些細なところで愛を感じてしまうもの。

「俺も片耳だけ開けようかな。っちとお揃いっスね!」

「涼太もちゃんと病院行ってよ?モデルさんの大事な身体なんだから。」

そっと耳に触れると、そのまま腕を捕まれて唇を奪われた。

「うん、甘い味がしたっス。」

してやったりと、笑みを浮かべる彼に悔しくもあり、不覚にもちょっと嬉しいと思ってしまった。

「…ココア飲んだからだもん。」

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