第2章 過去
「ただいまー…」
落ちるギリギリって所で
玄関から蛍くんの声が聞こえた
「あーぁ。帰って来ちゃった…
姫凪普通にしてなきゃバレるよ?」
私の頭をポンと叩いて
ソファーからテーブルの椅子に連れて行く
慌てて崩れた制服を直す
「おー!蛍!オカエリ!」
『蛍くん!おかえり!』
思いっきり蛍くんに飛びつく
蛍くんの匂いはいつも通りで
凄く安心する
さっき寸前まで追い詰められた
身体が落ち着いていく
「僕とは喋んないんじゃなかった?」
『あ!もう!蛍くんー!!』
蛍くんの意地悪な顔にまた
ホッとして
私もいつものように言い返した
「もう、面倒臭さい…」
あれ??なんかいつもと違う??
『蛍くん?なんか怒ってるの??』
ちょっと不安になって
蛍くんの袖口に手をかける
「なに?」
『怒ってるの?ごめんね?』
いつもと少し違うかもと思うと
泣きそうになる
蛍くんだけは
変わらないでいて欲しい
蛍くんとだけは
ずっと昔と変わらないままで居たい…