第2章 過去
【口喧嘩】
放課後になるまで蛍くんに
話しかける事は出来なくて
このまま置いて帰られるんじゃ
ないかって思うとソワソワして
カバンを抱えて
蛍くんの事を伺い見る
淡々と帰り支度を整えて
「布施、何してんの?
挙動不審。怪しすぎる」
蛍くんが私の前に立った
『え?蛍くん怒ってないの?』
「は?キミ僕になんかしたの?」
『え…だって朝……』
「あんなのいつもの事でしょ?
いちいち反応してたら身体もたない」
呆れた顔でため息をつく
『じゃあ怒ってないんだ…』
「そう言ってるでしょ」
『ほんと??』
「うん」
『ほんとーーーに?』
「だから、うん。て」
『ほん………』
「布施しつこいから」
『わーい!いつもの蛍くんだ!』
蛍くんの腕に絡みつく
「帰るの?帰らないの?」
振り払う素振りもせず
私に視線を落とす
『か、帰るー!!』
「布施うるさい」
耳を塞いで面倒くさそうに
顔を背ける