第2章 過去
【傷】
それからしばらく
覚悟はしてたけど
ヤッパリ辛くて
外で笑った分家に帰ると
明光くんの事ばかり考えてた
ヤッパリ人が去って1人に
なってしまう感覚は
私にとってカナリ深い傷みたい
別れて数日後
「ねぇ、布施さ。
なんでアニキと別れたの?」
『えー?遠距離とか寂しい?から?」
蛍くんに布施って
呼ばれるのには慣れたけど
この話題は今も慣れない
蛍くん以外も
明光くんの事は知ってたから
沢山の人に聞かれたけど
それでも【別れ】を
口に出されるたび
傷を抉られたようになって
「ふーん」
それに無関心な蛍くんにも
苛立って
『興味ないなら聞かないで』
その頃の私は蛍くんが
ちょっと嫌いだった