第1章 アニキの元カノ
「な、何言ってんの?
それがどういう事かわかってんの?」
無防備過ぎる布施に
理性が揺らぐ
さっきの今だから特にかな
でも布施にはそんな気なんか
ないのはわかる
アニキを拒否る理由は
わからないけど
ここに居るのが僕以外の誰かでも
同じ事をするってのだけは
わかるんだ
布施の中に
僕への好意なんかない
きっとただ
たまたま偶然
僕が居たそれだけなんだよ
そうに決まってる
「ねぇ、ホント冗談止めて?
帰らなくても良いけど
僕と寝るは絶対ないから」
なるべく冷静に諭すように言う
『昔は一緒に寝てくれた…』
「もう昔じゃないでしょ?
アニキと付き合ってたなら
一緒に寝るのがどういう事かくらい
想像つかない??」
何言ってんだろ僕。