第1章 アニキの元カノ
『イヤ………』
「じゃあ送るから帰れよ」
『開けて…』
「イヤだけど?」
『………』
布施が大人しくなった
「帰る?帰るなら開けてあげる」
『…わかった』
布施が小さい声で呟いた
「まったく…いい加減に……」
ドアをあけてソコに居た
布施に驚いた
「何してんの?」
僕の部屋の前で膝を抱えてる
心なしか肩が揺れてる
『…なんでもないよ!ごめんね!
えっと。コレじゃ帰れないから
着替え…その、車じゃないから
この格好じゃ歩いては
帰れないから、着替えないと…』
僕の声で飛び上がるように立って
俯きオロオロと喋りだした
「さっきから着替えると帰れないが
ループしてんだけど」
『………着替え何か借りていい?』
「僕の服じゃ結果一緒でしょ?」
『えっと。下は下着だけなので出来れば
ジャージのスボン等…』
ちょ、そうだったの?
このタイミングでカミングアウトとか
なんで?!
とか思いながらシャツからのぞく
太ももを見ちゃう自分が
心底イヤになる