第1章 アニキの元カノ
『蛍くん?』
布施がこっちを見上げたまま
首をかしげてる
だから何て言ってほしいの?
「キミさ………」
「姫凪ー!風呂入ってこいよ?
お前が入ったら俺も入るー」
僕の声をアニキが遮る
『え…でも……』
僕とアニキを交互に見ながら
歯切れの悪い布施
イライラする。
いつも図々しいくせに
なんの遠慮なのさ
別にイチャイチャしないでとか
言った事ないでしょ?
「いーから!もし帰ることになっても
俺が車で送ってやるから」
布施をリビングから追い出し
風呂に連れて行った
「蛍ー服借りていいか?」
風呂場からアニキの声
「どーぞ」
相槌うって残ってる洗い物を片付けた
「なぁ蛍ー、姫凪なんか
大人っぽくなった?」
風呂場から帰ってきたアニキが
不意に口を開く