第5章 ダイエット(木兎)※
「あれ、おっかしーなー」
ガサガサとエナメルバッグに手を突っ込んで何かを探す木兎さん。探し物は依然として見付からず。
「あの、木兎さん……」
「木葉とか持ってねーのかな」
そう言うと勝手に木葉さんのロッカーを物色し始める。
「……木兎さん、服着ていいデスか?」
「えっ!?」
「えっ!」
あまりにも木兎さんが驚くから、私も釣られて驚いた。
いや、だって避妊具が無いって言って5分も待たされたら、冷静にもなりますよ。
「だってナマでヤッたら怒るじゃん。だからゴム探してんのに」
「木兎さん、まさか部活中って事を忘れてはいないですよね?」
「うっ……」
ましてやここは部室。
一応内側から鍵を掛けているけれど、いつ誰かがやって来るかもわからない。
「さあ早く練習に戻りま…」
「お、ゴム発見!」
え、このタイミングで普通見つかります…?
「ダメです!ダメと言ったらダメです!」
「なんで?」
早くも透明な膜を装着して臨戦態勢の木兎さん。
なんとか説得を試みるも、ジリジリと壁際に追い込まれて、Tシャツ越しに身体がぴったり密着する。猛禽類の目が私を見つめて意地悪く笑うと、途端に冷めたはずの身体が熱くなる。
抵抗する間もなく片足を持ち上げられ…
「なんか、この格好エロくてそそるな」
え、嘘……
立ったままですか?
私の身長に合わせて軽く膝を曲げた木兎さんが、ずぶずぶと遠慮なく入ってくる。
「あ、ちょっと…ダメですってばあぁぁ!」
私の悲痛な叫びが体育館まで聞こえたと聞こえなかったとか。