第1章 1.ゆらり×ゆらり×出会い
───ぽぉん…
───ぽぽぉん…
暗闇の中先見のダウジングストーンが揺れ出した。
砂盤に渡した真鍮が鳴る。
ダウジングストーンがつけた跡は文字になっていく。
揺れが収まった後には砂盤に残された文章が光っている。
「……弱火でじっくりってなにさ」
小柄な少女の呟きが闇に飲み込まれて消えた…
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肩に届くほどの黒髪と、黒に近い紫色のノンスリーブのワンピース、そして大きなツバ広帽子。
胸にはクリスタルで造られたダウジングストーンがぶら下がっている。
印象的な大きな紫の瞳。喉を通るものが見えるほど白い肌。
齢13の少女にしては少々小柄な体つき。肩に乗せた黒猫が魔女を想像させる。
ハンター試験会場に集まった猛者に睨まれても飄々として子猫と遊んでいる。
胸についたバッジは406番。
一番早く会場に来た少女は自分でこのバッジを指名した。
「本来ならいないはずの人間なのだから」といって全く譲らなかったと言う。
また参加人数は自分以外で405人だろうとも呟いていた。