第1章 葛藤 × Red。 Vol.1
スタジオに向かう廊下で
「翔さん」
後ろからニノに呼ばれて振り返った。
俺の前には相葉くんと松潤が歩いてる。
「ん?」
「さっきさ、ずっと相葉さんのこと見てたよね?
もしかして、見惚れてた?」
「なっ…何言ってんだよ…
そんなわけねーだろ!」
思わず、目が泳ぐ。
ジッと見つめるニノの視線が痛かった。
「ふぅん…。」
何か言いたげだったけど
それ以上は何も言ってはこなかった。
「櫻井さん!もう少し寄って下さい!」
相葉くんの方に寄れと
カメラマンさんから指示が飛ぶ。
「ほらっ、しょーちゃん!」
相葉くんにグイ、と腰を引きつけられて
思わず身体が火照った。
「いい感じですよ!」
俺、顔紅くなってねーかな…
不安になりつつも、アイドルスマイルだけは忘れない。
ドキドキと高鳴る鼓動を悟られないように
俺は平静を装って撮影に挑んだ。
「しょーちゃん、今日、メシ行くでしょ?」
撮影終わりの楽屋で
相葉くんから発せられた一言に
またもやドキリとする。
「あぁ。そうだね!何か食べたいものある?予約しとくよ」
「二人で行くの?珍しいね?」
「松潤も行く?!」
「いや、俺は先約あるから、」
「リーダーは?」
「今日はちょっと厳しいなぁ」
おいおい、相葉くん…
誰も誘わなくて良いってば…
「俺は誘わねーのかよ!」
「だってニノは強制参加でしょ?」
えっ?! マジか…
二人っきりで、って思ってたんだけどな…