第8章 色香 × Green。
セットの中央に置かれた、球型の大きな椅子
車椅子を横付けし
その椅子に腰掛けた
「マジで絶対無理すんなよ?」
「キツかったら止めていいんだからな?」
「翔さんも潤くんも相葉さんに甘いんだから!
この人プロよ? 大丈夫だって!」
「ふふっ。」
振り付けは大幅に変更された。
リーダーと松潤を中心に
俺の為に限られた時間の中で特別バージョンの振り付けを考えてくれたんだ。
収録はなんとかこなすことが出来た。
一人で抱えてた不安をほんの少し取り除くことができた。
そして数日後
術後の経過も良いということで
俺は退院することになった
自宅へ帰ると
やっと戻ってこれた、という安堵感と
この時間はみんなは仕事をしてるのに、という悔しさで
また涙が溢れた。
明日は雑誌のインタビューがある。
暫くは座ったままできる仕事ばかりだ
ベッドに横たわると
自然と睡魔が襲ってくる
眠って起きたら
きっともうこの悔しさは切り替えられてるはず。
太陽の陽射しを遮るようにカーテンを閉めて
薄暗い部屋の中で一人、目を閉じた