第3章 嫉妬 × Purple。
「今、なんで一瞬考えたんだよ? 間があったぞ?」
「???」
4歳児相手に
何ムキんなってんだ、俺…
「これ食べたらさ、皆んとこ戻ろうか?」
「うんっ!」
俺はむねの手を繋いで
スタジオの隅に設けられた休憩スペースに戻った。
スタッフが駆け寄ってくる。
「松本さん、すみませんでした!」
イイ大人が
俺みたいなガキ相手に
腰を直角に曲げて頭を下げた。
「…収録再開ね」
「はいっ!」
「にのみやくん!」
繋がれていたはずの手が解けて
むねがニノの方へと走っていく。
小さなむねの背中を
ただ黙って見つめていた。
ニノがむねを抱き上げる。
「おぉ。むね! 何? 飴舐めてんの?」
「うんっ! じゅんくんにもあげたの!」
「そっかぁ。いい子だね、むねは。
潤くん食べてくれた?」
「うん!!」
何度も収録を止める俺のこと
ムカついてんじゃないのかよ
そんな優しい瞳をして
俺の名前を呼ぶんじゃねぇよ、ニノ。