第3章 嫉妬 × Purple。
「ちょっと一回止めて?」
「はぁっ…」
「またかよ」
「あ? 誰かなんか言った?」
「…」
気に入らない。
あれも
これも
どれも、全部。
納得しないと前に進めない
機嫌が悪い
メンバーも出演者も
明らか、迷惑って顔してる。
それでも前には進めない
進ませない。
我儘と言われようが
何様だと囁かれようが
これが、俺のやり方。
ピリつく空気の中
一人離れた場所で
パイプ椅子に座り、項垂れていた。
「じゅんくん、おこんないで?」
こんなちびっ子でさえ
空気読めるってのにな。
「怒ってないよ、むね。」
そう言ってクリクリの坊主頭を撫でた。
「はい。むねのちゅきなあめたんあげる。」
差し出された小さな掌の中には
三角形の苺ミルクのキャンディー。
「ん。ありがと。」
包み紙を開けて
ソイツをポイッと口の中に放り込んだ。
「おいちいでちゅか?」
「うん。美味しいよ」
ニコッと笑ってやったら
口元に手を当てて
むねもグフッ、って笑った。
「むねはさ、なんでニノが好きなの?」
「かっこいいから!」
「俺は? カッコ悪い?」
「じゅんくんもかっこいいよ!」
「俺のことは、嫌い?」
「んー、ちゅき!」