第1章 葛藤 × Red。 Vol.1
そのことを聞いてみたら
『その通りだよ。』
って言われて
なんだか肩の力が抜けた。
そっか…
そうだったんだ。
「サーフィンしてる時さ
しょーちゃんが『雅紀』って呼んでくれたの、
すごく嬉しかったよ。
懐かしかった。」
あの頃俺は
仕事以外では相葉くんのこと
『雅紀』って呼んでたんだ。
ずっと、弟みたいに思ってた。
時が流れていつしか
仕事でもプライベートでも
『相葉くん』って呼ぶようになって。
『行こうぜ、雅紀!』
あの時咄嗟に出たその呼び方は
頭で考えて言った訳じゃなくて
一瞬にしてあの頃に返ったようで
自然とそう呼んでたんだ。
「雅紀…俺、待ってちゃダメかな…?」
「えっ…」
「あの頃、俺が雅紀の気持ちに気付いて振り向くのを待っててくれたようにさ
俺も、雅紀がもう一度俺のこと好きになってくれるまで待ってても…」
「好きだよ!
しょーちゃんのことは
ずっと、ずっと好きだよ…
でもこんなの都合良すぎる…」
「そんなのお互い様だろ…?
今すぐ別れて俺んとこ来い、なんて言わねぇーよ。
でも、待ってるから。
ずっと、待ってるからさ…」