第21章 ネコ科のふたり
『ニーノっ! 帰ろ?』
『あー、うん』
俺にやたらと引っ付く相葉さんと
それを良しとする俺に
メンバーは目を丸くしてる
元々この人は人との距離が近いけど
付き合ってからは今まで以上だ
『珍しくニノが従順だ』
『何かの罰ゲーム?』
『熱でもあるのか?』
いつもなら『じゃれるなよ、あいばか!』とか言うのに
それをしない俺はやっぱりレアなんだろう
『俺達ね、付き…』
『あー!あー!あー!!』
『え? ナニ?』
Jが怪訝そうな顔をする
『何でもないよ! お先!』
俺は相葉さんの手を引いて
逃げるように楽屋を出た
『…メンバーにも言いたくない、って感じ…?』
俺より一回りもデカイくせに
明らかにシュンとした様子で
上目遣いで俺を見つめる
違う
そうじゃないんだよ
そうじゃないんだけど
俺も相葉さんもネコなんだってことはメンバーも周知の通りで
メンバーカラーで言ったら
黄色の俺と緑の相葉さんが混ざり合って黄緑になる事は永遠になかったはずだった
『そんなんじゃないよ
でもあとちょっとだけ、時間くれる?』
『ん…』
寂しそうに俯く相葉さんの手を握り、引き寄せて
ギュッと抱きしめた