第1章 葛藤 × Red。 Vol.1
それから数日経って
音楽番組の収録で
嵐のメンバーと顔を合わせた。
相葉くんの時折遠くを見つめる瞳が
こころなしか寂しげに見えたのは
俺の気のせいなのか、それとも…
「相葉ちゃん、なんか今日ボーッとしてない?」
「えっ、そう?!」
いつもは人のことをとやかく言わない智くんが
隣りに座った相葉くんにそう言ったのが聞こえた。
…すぐわかったよ。
今日相葉くんに会って
すぐわかった。
ボーッとしてるんじゃない
明らかに、何かあったんだろう
きっと…
恋人のことで。
収録終わり
「しょーちゃん、ちょっといい?」
相葉くんの方から声をかけられた。
「どうした?」
「あの、ね…」
彼と、別れたのか
そう思うと
ちょっとホッとした。
「やっぱ…別れらんなかった…」
なんでだよ
二股かけられてるんだろ?
そんな奴と居たって
幸せになれねーだろ?
「まだ好きなんだ? その人のこと」
「うん…」
「で、どうすんの?
それでいいの?相葉くんは、」
「良いわけないよ…」
相葉くんの目に
涙がじわりと滲む。
追い込むだけだとわかってても
なんだかそれが許せなくて
つい、強い口調で言ってしまった。