第1章 葛藤 × Red。 Vol.1
「俺の前では無理して笑うなよ…」
「…っ、」
「あ、いや…」
「………とう、」
「…えっ?」
「ありがと…しょーちゃん……」
「バカッ、泣くなよ!」
「だってぇ…さっき…グスッ
しょーちゃんがっ…ウウッ…無理して笑うなってっ…
言ったんじゃんかぁぁー…」
「いや、そーだけどさぁ…」
泣かれちゃうと
抱きしめたくなっちゃうだろうよ…
相葉くんの背中に伸ばしてしまいそうになった手を押さえ込んで
ギュッと拳を握った。
相葉くんは気が済むまで泣いて
そしてそのままリビングのソファーで眠ってしまった。
「風邪引かないでくれよ?」
大き目のブランケットをかけて
暫く寝顔を眺めたあと
部屋の電気を消して
俺は寝室のベッドにダイブした。
結局その晩は
なかなか寝付けずに居た。
『俺の恋人は…男の人なんだ。』
俺の知ってる人だろうか。
メンバー?
まさかな。
ニノは…知ってんのかな。
ようやく眠気が訪れたのは
カーテン越しの空が明るくなり始めた頃だった。