• テキストサイズ

誰も知らない。【気象系BL】

第16章 ソメイヨシノ


『翔』

『はい?』

『この間の話、嘘だかんな?』

『この間の話?』

『桜の木の下には死体が埋まってるってやつ』

『わっ…わかってるし!
そんなの信じてるわけ無いじゃんっ…!』

『そうかぁ?
結構ビビってなかったか?』

『…ビビってねーし!』


後ろで智くんが小さくふふっと笑ったのが聞こえて
なんだか無性に恥ずかしくて

だけど繋いだその手はギュッと握られたままで




『俺さ、すっげー桜が綺麗なとこ知ってんだ』

『へぇ…』

『行くか?』

『え?』

『一緒に見に行くか?』

『大野くんと…?』

『うん、俺と』

『なんで…?』

『翔は“櫻井”だから』

『だから、意味わかんないって…』

『ふふっ。嘘だよ
翔と一緒に見てぇなって思ったからさ』

『じゃあ…いつかそこ、連れてってくれる?』

『いいよ
約束な?』

『うん、約束』


その後レッスンに遅刻して
二人して怒られたよね






「懐かしいな…」


…あの時の約束
20年経っても果たせてないよね
智くんが俺に見せたかった桜って
どんなだったんだろう…
/ 181ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp