第14章 Triangle
「腹減ってる?」
「いや、大丈…」
キュルルルル〜
「「…」」
盛大に鳴った、翔くんの腹の虫
「…減ってんじゃん」
「…そうみたい?」
「なんでそこ疑問形?」
可笑しくなって笑い出す俺に
翔くんも耳まで赤くして笑った
「パパッとなんか作るよ」
「いいって! いいって!」
「腹の虫いつまでも鳴かせとくつもり?」
「…うっ」
乾き物とか枝豆とか
すぐに食べられるものだけ用意して
俺はキッチンに立った
「悪いな」
「いいよ、気にしないで」
「ありがとな、潤」
潤、か…
一気に蘇った、昔の記憶
そうだ
まだジュニアだった頃
俺は翔くんに『潤』と呼ばれていた
『しょーくん! しょーくん!』
『なんだよ、うぜぇなぁ
おい、潤! 引っ付くなっての!』
『いいでしょ! 翔くんのこと好きなんだもん!』
『気持ち悪ぃっての! もぉっ! やーめろっ!』
口ではそんなこと言ってても
何だかんだ言って翔くんは優しくて
俺のことを可愛がってくれていた
「懐かしいね、その呼び方」
「あぁ…」
フライパンの火を止めて
真っ白な皿に盛り付けていく
そう言えば
俺が初めて翔くんに振る舞った手料理も
カルボナーラだったっけな