第14章 Triangle
「美味ぇー! マジ美味ぇー!」
子供みたいに全力で表現する翔くんに
自然と笑みが溢れる
「やっぱ天才だわ!」
「誉め過ぎでしょ?」
「いや、マジで!」
翔くんの『マジ』は
結構、『マジ』だ
あっという間に平らげるから
皿を片して冷蔵庫から取り出したキンキンに冷えたビールを手渡した
「乾杯する?」
「あぁ」
「「乾杯」」
グビグビとビールを喉に流し込むと
翔くんがぷはっ、と息を吐いて口元を拭った
「話、あるんだろ? 俺に」
話?
…そうか
大事な話でもなきゃ
俺が翔くんを誘うなんてこと、あり得ないと思うもんな、普通
この際だから聞いておくか
ずっと俺が聞きたかったこと…
「翔くんはさ、」
「…ん?」
「気付いてんでしょ、まぁの気持ち」
「…なんとなく
そーかなとは思ってるよ」
なんとなくじゃない
間違いなく、だよ
「どーすんの?」
「どーするって、何が?」
「受け入れんの?」
「いや、受け入れるも何も…ハッキリ言われたわけじゃないし…」
わかってる
わかってるけど、
「じゃあ…
もしもハッキリ言われたら、どーすんの?
まぁに、『好きだ』って…」
自分で言ってて
胸が苦しくなる