第12章 顔
一人きりになったリビング
暫く一人飲みで時間を潰し
頃合いを見計らって
ゲストルームをそっと覗いた
よし、寝てる。
そっとドアを閉めて
俺は一番奥の部屋へ向かい
鍵を開けた
「お待たせ」
内鍵をかけ
間接照明を点けると
一人掛けのソファーに座る
「アイツら酔っ払いでさ…参ったよ」
くつくつと笑う俺に
あなたは最高の笑顔をくれる
「会いたかったよ…」
立ち上がって歩み寄り
その手を伸ばして
あなたの頬に触れた
「好きだなぁ、この顔…
でもこっちの顔も捨てがたい」
いろんな表情のあなたが
一斉に俺を見つめる
「好きだよ。
この顔も
この顔も
この顔も、全部好きだ」
部屋の壁中に貼り巡らされたあなたのポスターを
愛おしく撫でていく
「好きだよ…翔くん……」