第12章 顔
次の日
いつもと同じように対戦後のチャットをしていた
トークルームにはいつものメンバー。
『オフ会しない?!』
はぁ? オフ会?
『ええやん!』
『賛成ー!』
関西や東北の奴らまでノリ気で。
おいおい、待てよ
無理に決まってんでしょ?
その時
“ナツさんから個別チャットに誘われています”
と、画面にメッージが光った
『どうした?』
『いや、ハルはどーすんの? オフ会』
当たり障りない言い訳をする
『仕事だと思うから無理だよ。ナツは?』
『俺も無理。てゆーか、ヤダ』
『でもオンライン仲間に居るんだろ、好きな奴
会えるチャンスじゃん』
痛いって思われるかもしれないけど
会ったこともない人に恋をするのは
ネットの世界じゃ珍しくない
『いいんだよ』
『何、自信無ぇーの?』
『ちげーわ』
『逃げてんの?』
『逃げてねーよ!』
なんだよ
逃げてんじゃんか
『仕事で会えるからいいんだよ!』
え?
仕事で? 会ってんの?
あー。
それで相手がオンラインやってるの知って
ナツも始めたってことか
『へぇ。リアルで知り合いなんだ? 相手と』
『そーだよ』
『告んねぇーの?』
『うるさいなー。
相談にでも乗ってくれるつもり?』
うーん、まぁ
相談つーか?
話聞くくらいならできる
『俺は構わないけど?』
既読が付いて、また数分返事は無くそのままだった
あ。返事来た
『じゃあ、俺と会ってよ』