第12章 顔
会う?
俺とナツが?
『出来ねーだろ?
ならそんなこと言うなよ』
その言い方になんだかイラッとした
『出来なかねーよ
わかったよ、会うよ
会えばいいんだろ?』
正直、ナツならいいかなって思ってた
だけど何の口止めもしないで会うわけにはいかない
『その代わり
俺と会った事、誰にも言うなよ?』
『わかってるよ』
『誰にもだぞ』
3日後、俺はナツと会う事になった
待ち合わせ場所に指定されたのは
以前、メンバーに連れてってもらった事のある
高級な焼肉屋
後日、時間と予約した部屋の名前が送られてきた
ナツって高給取りなのかな?
個人携帯は教えていない
もし行ってアイツが来なかったら…
きっと俺のこともその程度だってことだろ
それはお互いそう思ってるはず
ナツも、俺がもし来なかったら…ってね。
時間より早く店に着いた
店の人に予約した部屋の名前を告げると
『お連れ様は既にお見えになられています』
と言われた
ナツの奴、本当に来たんだ
俺を見て…どう思うだろうか
『嵐の二宮じゃん!』
とか言われんのかな
案内された部屋の前で
ふうっ、と息を整えて
俺は扉を開けた
…は? なんでお前が居んの…?
お前が、ナツ?
じゃあ
オンラインゲームのことをお前に教えた、お前が好きな奴って…
「お疲れ、ニノ」
ついさっきまで収録で会っていた濃ゆい顔のソイツは
俺の顔を見て
ふわっと微笑った
☆END☆