【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。
第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。
日向子にさっきまであった事を全てを話した。先生に遠月十傑になれないと言われた事、得意料理が私にはない事、四宮先輩に愚痴という名の相談をすれば、指導をして貰えるようになった事。
すると日向子はワナワナ身体を震わせて、泣きそうな表情で私に抱き着いて離れない。私の両肩に触れて上下に激しく揺さぶられた。
「百合子ちゃん…ど、どうして私にそんな大事な事をいってくれなかったんですか!?」
「えっ、いや…大事な事、なのかなと思ったら…分からなかったし。日向子ちゃんに…迷惑掛けたくなかったから…」
そう素直に質問に答えれば、日向子はキッと私に強く睨み見上げて来る。私は苦笑いで首を傾げれば、私の両肩をぐっと力を込めた日向子がいた。
「変に距離をおいたり私に壁を作って…大事な事を教えてくれなかったり、百合子ちゃんのそういう所…大嫌いですっ!」
「ご、ごめん…」
「それに…なんで!私よりもよりにもよって!四宮先輩の方が先に、そんなに大事な事を言ってしまうんですか!」
大声でいい涙目になる日向子は私の胸に顔を擦り付けるようにグリグリしていて、普段ならセクハラなんじゃないだろうかと私も嫌がるが日向子は相当ショックだったのかピタリと身体を止めてギュッと抱き着いて来るだけだった。
確かにそう言われると、なぜ苦手な四宮先輩に私は自分から素直に色々といってしまったのだろうか。彼には惹き付けるなにかがある。それは分かるが…自分自身、無意識だったので分からなかった。
「百合子ちゃん!私に気を遣わなくても大丈夫ですからね!」
「わ、分かった…日向子ちゃん、ごめんね?」
「いいんです、私も熱くなり過ぎちゃいましたし…それで、百合子ちゃんは得意料理がないんですね?」
コクリと頷く。日向子は私の手を引いて椅子に座るように勧めて、私はそっと腰掛けた。隣に腰掛けた日向子は紙とボールペンを取り出して私に質問する。
「四宮先輩はなにか言って?」
「いや…先ず食材で作っていて、好き嫌いはないのかって事を」
「好き嫌いですか?それじゃあ、百合子ちゃんは作っている料理で一番好きな物ってあります?」
「そう言われると…なんとも言えなくて」
どれも作りがいがあって楽しいという気持ちしかない。それを日向子に伝えれば、うなり声をあげて難しい表情をされてしまった。
