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第8章 空白の時間


『ぁ……ッ、は…っあ……』

身体からクタリと力が抜けて、気持ちよさの余韻に浸る。
やっと、イけた……やっと、気持ちよく、なれた…

「お前何か仕込まれただろ…何されたんだよ」

『……媚薬…?使われて………手足固定されて、身体、触られて…………ずっと、焦らされてた』

「媚薬!?んなもん使われてずっと焦らされてたって…!お前まさか、人虎が聴いたすげえ悲鳴って……」

コク、と頷いて顔を背ける。

『散々、ねっ?いろんな所弄って、無理矢理身体に期待させるくせして……イきそうになったら止められちゃうの。今日朝から敦さんが脱出するまでねっ…?ずっとそこ、切なくされてたのッ…』

「成程……あーなんだ、そういう事かよ。…ここ、こんな風にされたかったのか」

『も…お預けッ、やだぁ……っ』

私の言動で何かを察したのか、中也さんの顔が近付いてくる。

「それでそんな風に仕上がってんのか…お前の身体に触った野郎は気に食わねえが、こうも可愛らしくなっちまったとこだけはいいな」

『!…怒ら、ないのっ……?』

「お前は何も悪くねえだろ、寧ろ被害者みてえなもんじゃねえか。…ほら、もうちょっと気持ちよくしてやっからこっち向け」

中也さんの言葉に酷く安心してまた涙が出てきて、顔を向けるとキスされる。

『ん、ッ……んんッ…』

ギュウッと私を抱き寄せて、舌を優しく絡めとって触れ合わせて、少しして触れるだけのキスになる。

結局何だかんだ言って、凄い刺激で気持ちよくさせられたって、こうされるのが一番気持ちよくて満たされる。
中也さんとキスするのが、結局は一番気持ちいい。

長く、何度も触れるだけのキスをして、最後にチュ、とリップ音を立てて唇を軽く吸われ、唇が離れた。

肩で息をする私の唇に中也さんの指が触れて、それにもまたゾクゾクする。

「いい顔……なあ、蝶。お前を組合に迎えに行ったらよ、今度こそ話してえ事があるんだ…それまで、もうちょっとだけ頑張ってもらえるか……っ?」

中也さんの声が、また少し涙ぐみ始めた。

『ん…私も、中也さんに話したいことね、あるの……待ってるよ。大丈夫だから…』

「……俺に大丈夫って、言わなくてもいい。見栄はらなくったっていい」

『!…大、丈夫……中也さんが、来てくれるから』

頭を撫でてくれる手が、酷く暖かかった。

「おう…たり前だ……」
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