第8章 空白の時間
「あっぶなかった…もー、ほんっとに気をつけてね!?危うく僕がやばい疑惑をかけられるような事態になりかねなかったんだから!」
『わ、忘れてた…』
「ほんとに忘れてたの!?僕ドレスより下なんだ!!?」
清々しいくらいの突っ込みを無視して背中に腕を回すも、こんな位置にあるファスナー、開けられたものじゃない。
それにレースのせいで隠れちゃってるみたいだし…
『…ん……トウェインさん、後ろ開けて?』
「え、僕?……ええっ、僕!!?」
『私じゃ開けられないの、昨日だってここ上げたのトウェインさんだったでしょ』
そう言うと渋々と言ったようにこちらに来るトウェインさん。
背中向けて、と言われてその指示に従うと、後ろから髪の毛を前に出された。
「挟んじゃうといけないから、持ってて」
コクリと頷いて両手で髪を束ねる。
そしてそれと同時に、なんだか気恥ずかしくなってきて、見られている背中が気になって気になって仕方がなくなってきた。
『と、トウェインさん…?せ、背中、何かある?』
「ん?いや…」
『なら早く下ろッ…んんっ…!?』
突然背中の筋をスーッと上からなぞられて、首や鎖骨を奏される時のように肩をビクッと跳ねさせる。
下までいったかと思えばまたそれを上に向けて撫で上げてと、指を上下に往復させられる。
『な、にしてっ…ぁ、ッ……ひぅ…ッ』
背中を少し反らせるもそれをやめてはくれなくて、私は向こうが見えないのに相手からは全部見られているというこの状況が余計に私の羞恥心を煽り、ゾクゾクしてきて止まらない。
『そ、なとこ…そんな風にしなッ、あッ…!?んん…ッ、せ、なかっ……』
「背中…こうされたこと、ないの?」
『やッ、そこで喋らなっ……んぁッ…』
首元と耳に息がかかる。
背中だけでもおかしな事になっててこんな風になってるのにそんなところまで刺激され、身体に力が入れられなくなって後ろのトウェインさんに凭れるように倒れる。
「っと………ふふ、可愛い。背中どうなのかなって思って、ちょっと意地悪したくなっちゃった」
『ぁ…ッ、せなかっ、だめなの……っ?』
「やっぱ知らなかったんだ?あと耳も弱いでしょ。反応しすぎ」
トウェインさんのシャツをキュ、と掴んで、息を整えて口を開く。
『次したらもう口きかない』
「反省してます、すみませんでした」