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第6章 あたたかい場所


中也さんに腕を回されているのにさえ今の私には頭や身体への刺激がちょっと強くて、その上そんな理由でこうされたと教えられて身体が恥ずかしさに震え始める。

『な、何言ってっ……中也さん、もっとギュッてして?もっと私にくっついて…っ!?』

中也さんにつられてわがままを言ってお願いしてみれば、中也さんにグイッと身体を反対向きに向けられる。

ソファの上だということで落ちてしまうんじゃないかと怖くなって、そこにしゃがんでいる中也さんの首元にまた腕を回す。
するとそれに応えるようにして、中也さんからも腕が回され、お願いしたようにギュッとしてくれた。

「もっとくっつきてえんならこっち向いてもらわねえとな。で、他は何かしてほしくねえか?お前におねだりされたら俺はその通りに動くようになってんだ、立原も言ってたように何でも言ってみろ」

少し前に中也さんに対して私が言っていたようなことを口にされ、更に胸がドキドキする。

『え、と…撫で撫でして?もっともっと中也さんにこうされたい』

「はいよ」

中也さんは私がお願いした通りに優しく優しく頭を撫でて、私をもっと強く抱きしめる。
これだ、これがあったかいの。

中也さんが一番あったかいの。

「今日は蝶からのご要望が多いなぁ?頭ショートして逆に素直んなったか?」

『………チュー、して?』

ピクリと中也さんの手が止まる。
ここはやっぱり、彼の中でもある一定のラインなのかもしれない。

キスをするのは、やはり撫でたり抱きしめたりするのとは、わけが違うのかもしれない。

「…どっちがしたい」

『……気持ち、いの…優しいの、してほしい』

中也さんの手が頭から頬に回ってきて、ビクッと肩を跳ねあげる。

なんだ、私だってやっぱり、キスは特別なものなんじゃない。
恥ずかしさのレベルも、ドキドキも、全然違う。

「何でこうも俺の知らねえ内に仕上がっていってくれてんのかねぇ…」

『…ダメ?嫌だった?……、んぅッ…』

触れるだけのキスをして、少ししてからチュッとリップ音を立てて唇が離れる。

突然の事態にびっくりしたのと、もうちょっとしていたかったという物足りなさから、ついつい中也さんを見つめてしまう。

「んな顔すんなって…そういうのもまあ好きだが。ダメでも嫌でもねえよ、俺好みだ」

私の唇を指で撫でて、またキスが落とされた。
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