第27章 飢えて枯れてなくなった
「これはまた奇妙な技だ…」
『ごめん、暫く頼める?“手は打った”』
「任せろ、これでも兄貴にみっちり鍛え上げられてんだからな」
『任せた…!』
道の生成が完了した。
外から中に入ってくるための道…それを三つ。
きっと気づいてくれるはずだ、分かりやすい目印だって“置いてきた”。
____任せて…助けに来て
私が自分から、助けを口にするのはあまりないこと。
だったはずなのに、あの人はそれを普通に変えてしまった。
捩摺が二代目を相手に応戦する内に、殺せんせーが作業を終えてこちらに駆けつけてきた。
「蝶さんっ、ありがとうございます!!!お怪我、は…」
『…何?』
「……なるほど、そういうことですか…随分と頑張らせてしまったらしい。しかし蝶さん、優等生なあなたですが、今回ばかりは“零点”ですね」
『作業が遅かったそっちのせいでしょ、それにちゃんと手は打ってあっ____』
「ぐ…、ッ…!!!、!?」
言いかけたところで、柳沢の肩が撃たれる。
貫通してきた弾を紅姫の刀身で上に弾き、勢いを沈めて降ってきたのを手でキャッチする。
その弾には見覚えがあった。
『……ほら、もう来てくれた』
まさかこんなに早くに来てくれるだなんて、思わなかった。
強がってそんな言葉を出したけれど、内心酷く安心したんだ。
次々に中に入ってくる影。
そしてその中の一人が“超体操着”のフードを脱いで、私の前にしゃがんでくる。
「…何一人で無茶なことしてんだよ、馬鹿……中也さんいなかったら、俺らだって駆けつけられなかったじゃん」
『中也がいたのが分かったから…ごめんねカルマ。後でついでに、“トウェインさん”にも言っといてよ』
弾を見せながらにこ、と微笑むと、呆れたようにため息をつかれる。
「あーあー、うちの蝶ちゃんほんっと優秀!確かに、“暗殺の邪魔をしないよう中に入るなら”、国にも文句は言われないもんねぇ?」
「うちの蝶だぞ、優秀に決まってんだろ。無茶しやがったのと、また大丈夫だなんてほざきやがったのは帰ったらまた仕置きだがな」
「うっわぁ、まぁだしたりないんすか中也さん?流石にうちの姫ちゃんも泣きますよ?」
「ちょっと、僕が道見つけたのに無視なの全員!?」
探偵社、ポートマフィアにギルド…そして喜助さんに真子を初めとした一部の隊長格。
来て、くれた。
