第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
谷崎さんに簡単に武装探偵社の概要を説明していただいて、どうりであんなに強いはずだよと納得した様子。
しかし今度は、天然なのか磯貝君が、本当に悪気の無いような澄んだ瞳で爆弾発言を投下した。
「あれ、でも蝶ちゃん、中也さんは探偵社の人じゃあないって事?」
『ブッ……ケホ、ケホッ!!…………磯貝君、その話はまた後でするから』
天然民族恐るべし。
この場で中也さんの名前を出すだなんて、谷崎さんは誤魔化せても太宰さんが…
「え、太宰さん?何でそんな、明らかに嫌そうな顔してんすか?」
「はっ!!あのちびっ子帽子置き場の話は蝶ちゃんから聞きたまえ……あああ蝶ちゃん、でもやっぱりあんな奴の話ばっかりじゃなくって私の事も周りに自慢して褒めてくれたって」
『うんうん、中也さんはこんな大人気ない自殺マニアで仕事サボってばっかりの太宰さんとは全然違うからね~。ちょっと鈍感なだけで』
「あ、相変わらず手厳しいっ!あいつの話ばっかりされて私を貶すだなんて蕁麻疹が…ああでもそんな蝶ちゃんも可愛いよ!!」
いつまでたっても大人しくなってくれない太宰さんに呆れてもう全てを無視する事に決め込んだ。
『で、まあ私は能力の事を東京では出来るだけ隠して生活するようにしてるから、ただのボディーガードって言ったの』
「無理矢理話戻したね、中也さんの話続けてくれたっていいのに」
『カルマ君黙って。心配しなくても探偵社出た後にめいいっぱいしてあげるから』
カルマ君はげっ、と言ったような顔で大人しくなった。
げっ、て何よ、げって。
「成程なあ~…まあ確かに、異能集団なんて普段見かけない東京なんかじゃ、あんま目立つような事出来ねえよな」
『うん、そういう事。後、やっぱり武装探偵社なんて仕事してたら話せないことも色々あるしね』
前原君も磯貝君も、ちゃんと理解してくれた様子。
これで私の職業や能力については話せたし、残るはポートマフィアについてだな…。
「でも良かったね蝶ちゃん、カルマ君以外にも理解してくれるような子が見つかって」
考え込んでいると、谷崎さんが私に言った。
谷崎さんも私を心配している面があったのか、本当に嬉しそうに笑ってくれてる。
『そうですね、思わぬ形で話す事になりはしましたけど。心強い友達が増えてくれました』
素直にそう思った。
私を受け入れてくれてありがとう。
