第27章 飢えて枯れてなくなった
『妾、もうお嫁に行けない…』
「おう、いつでもそうしてやるよ」
『…其方も中々の物好きよのぅ、こんな生命体相手に生涯を捧げるなどと…馬鹿の所業としか思えん』
「桃色通り越して真紅の蝶々舞ってるんですが?あとそんなに抱きついてて息苦しくねえのお前?」
『わ、わわわ妾が中也に触れるのに呼吸など必要ない!!!!』
「分かった、お前馬鹿だろ。知ってた」
愛が溢れて止められない。
こんなにもどうにも出来ないのは、それこそ実に二千年ぶりのことだ。
すりすりとくっつき続けるうちに、時間を経てどんどん愛情が増していく。
『誰にも譲らん…ここ、妾のとこ。他の誰か寄せ付けたらそいつ殺す、その場で処す』
「俺じゃねえのな?そこは」
『………するの?』
「!!?しねえよ!!!間に受けんなこんな冗談!!!!」
ぶわっと滝のように涙を溢れさせれば、途端に慌てて訂正された。
『あ、ぅ…わ、…妾、は……い、いいいいいもん、捩摺が…捩摺ぃぃ…ッ』
「俺!!?…あーあー、そんな泣き散らして…おいあんた、いい大人が十五の女泣かせるって……」
「中也さんまた泣かせてる…中学生の女の子を」
「ロリコン…」
「おいイリーナ、手前だけモロに言ってんじゃねぇよ」
『妾よりもイリーナせんせがいいのか!?やはり胸の大きさが大事なのか!!?』
「あああああ違ぇ違ぇ違ぇ!!!誰がんなもんに興味あるかっての!!?」
しかしその答えに、自身の胸部についているそれの質量がそこそこのものであると少々コンプレックスを抱く自分を思い出す。
そしてそれを押し付けるように彼の背に腕を回して、ぎゅ〜っと抱きつく。
「おおおお!!?ちょっ、おい…!?」
『…いらない?姫のもいらない??』
「あああもうお前ほんっと!!!ほんと!!!!…ッ、…お前のはいる」
ボソリと最後に小さく観念した中也は私を再び抱きしめて、それからまた付け足した。
「…けどそれダメだ、俺には刺激が強過ぎっから…あんますんな」
『…他の人はしていいのに?』
「いいわけあるか!?お前以外のなんか触れたところで何ともねえんだよ!!」
「あの人全国の女性とロマン溢れる男性を敵に回しましたねぇ今?」
「し、信じられない…」
「浦原さんと担任はどっちの味方してんだよ!!!?」