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第26章 帰郷


『君臨者よ…血肉の仮面・万象・羽博き、ヒトの名を冠す者よ!』

「!鬼道ってやつか…?んなもん、唱えさせるわけが…ッ!!!壁、っ!?」

『雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ』

中也の周りを五重にして張った壁。
それを彼が割りすすめるうちに、私の詠唱も完了する。

「…!!おい待て澪!!!なんぼ本気や言うても、んなもんぶっぱなす気か!!?お前の大事な奴相手に!!!」

『…蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵を遠天にて待つ……縛道の六十一、六杖光牢!!!』

「ッ!!!?んだ、これ…動か…っ」

『____破道の七十三、双蓮蒼火墜…!!』

六十番台の縛道が有効的だった。
それなら、恐らく七十番台の波動でもダメージはあるはず。

手応えがあったため、壁を張り直してからすかさず鬼道の詠唱をまた開始する。

『千手の涯 届かざる闇の御手 映らざる天の射手 光を落とす道
火種を煽る風 集いて惑うな 我が指を見よ…光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔 、弓引く彼方、 皎皎として消ゆ___』

「澪!!!お前ええ加減にせえ!!俺でも怒るぞ、そこまでせんでええやろ!!!?」

真子の声は聞こえないふりをした。
ここまでしたって足りない。

だって、相手は中也だから。
足りるはずがない。
最初からこの勝負に決着がつくだなんて、思っていないんだから。

『___破道の九十一!!千手皎天汰炮!!!』

少し霊力の底が見えてきた。
流石にほとんど僅かな霊力でやるにはやりすぎたか…いや、しかしここまでしても相手は中也。

どんな手を使って凌いでいるか。

なんて考えていた私は動揺した。
彼は、凌いでなんかいなかった。

砂埃が晴れてからその姿を確認すると、あまりにも血が流れすぎている。
まだ六杖光牢にもヒビが入っている程度…私が飛ばしすぎたというのもあるが、どうしてだ。

…まさか、本当に鬼道の攻撃は捻じ曲げきれなかったというのか?

「…ッ、なんつう顔してんだよ…、勝負中だろ、いらねえこと考えんな。…この鬱陶しい拘束解くために受けたんだ、っつーーーの!!!!!」

「!波動のダメージと腕力で…澪の縛道を解いた!!?」

「ひ、平子さん…そ、そんなにすごいの?」

「すごいとかいう問題やない、普通に考えてありえへんねん…!まさかあいつ、それであんな本気で…ッ」
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