第2章 暗闇の中で
その後、太宰さんはとても驚いて、
「ついに蝶ちゃんがデレてくれた…!!」だなんて騒いでいたが、深い理由などは追求してこられなくて、少し安心した。
『…ごめんなさい、太宰さん。その、狭いですよね、?』
そして今。何を隠そう絶賛添い寝中なのだが…やはり布団一枚の中に、人一人と大の大人が一人はなかなかに狭い。
「いやいや、蝶ちゃん細いし大丈夫だよ!」
言いながら、私の腰に回される手。
体が一瞬ビクつきはしたが、暖かくて、次第に私の眠気を誘発してくる。
『今日、カルマ君と話してたの。あの…えっと、』
「中也の事かい?」
察しが良くて驚いた。
太宰さんは中也さんの事嫌いみたいだから、名前を出しにくかった私としてはとても助かったけど。
『!は、はい…それで、その……ちょっと落ち着かなくなって。』
今日、放課後にカルマ君と話した事を軽く伝える。
『“名付け親”だなんて言って、勝手に覚えてもらってるって思い込もうとしてるけど…もしも出会えた時に、忘れられてたらって思いが消えなくて、何となく一人で眠りたくなかったんです。』
太宰さんの服をキュッと握りながら、思っている事を伝えた。
「そういう事か。まあ、私から言わせてみれば、あのちっちゃいのは確かに馬鹿だ。」
『え、あの私、別に中也さんが馬鹿だなんて言ってな_』
「でも、君への想いは誰よりも強いはずだ。」
『…誰よりも、ですか?』
意外な言葉に、聞き返すことしか出来ない。
「ああ。勿論、私が一番蝶ちゃんのことを想っている…と言いたいのだけどね?残念ながら、これに関してはあいつの事を下に見れない。」
想ってくれてる…私の事を?
「私よりもとは言いたくないが、君の事をこの世で一番大切に思ってるのは、悔しいながらもあいつだよ。ほら、元相棒の私の言葉だ。嘘はない。」
腰に回していない方の手で、私の頭を撫でてくれる。
ああ、もう。
太宰さんにそこまで言われると、心配していた自分が馬鹿みたいに思えてきた。
『はい、…ありがとうございます。』
「いえいえ?私は君の、第二の保護者の様なものだからね!」
『保護者…確かに間違ってないかも。』
ふとここで疑問に思った。
第二の?
『あれ、太宰さん?じゃあ、第一の保護者は?』
「勿論、君の元お目付け役のあいつだよ?名付け親だし。」