第26章 帰郷
四十六室…尸魂界における最高機関で、そこが下した判断に逆らうことは許されない。
地位の高い護廷十三隊でも、その総隊長でさえも、それに従うしかなかったはずなのに。
なんと言った?
今、乗り込んだって…
「当たり前やろ、お前何もしてへんのにあんな判決納得いくかい。…まあ、結局情けないことに話に聞く耳持ってすらもらえんかったけどな」
何もしてへんどころかあんだけ尸魂界のために尽力しといて、あんな扱い…
なんて続ける真子に、言葉が見つからなかった。
『馬鹿、じゃないの…そんなことして、下手したらあんただって…!!』
「帰れんようになったって、お前やったら見つけてくれるやろ?」
『なッ…!!?』
清々しいほどにサラリと言いきる真子に、余計に思考が追いつかなくなる。
「だって、織姫ちゃんが結界解いてしもうたその日にお前…俺らのこと見つけてくれたやん」
『……あれは、現世だったから…ってだけ、で…』
「…まあ、そういうことや。えらい後悔したけど…俺がお前に会えんかったのは、決して会いたくなかったからでも忘れたかったわけでもない。それだけは…信じてくれ」
信じてくれも何も…嘘なんか、私相手にろくにつけないくせに。
下手なくせに、大事なことだけいっつも伝えてくれなくて、その度に無茶なことばっかりして。
『嘘つくの下手なんだから疑わないわよ一々……ねえ、会いたかった?』
「…会いたかった」
『……会えて、どう?…わたし、まだ実感湧かなくって…夢でも見てるんじゃないかってくらい、なんか…なん、か…』
言葉にすればするほど、目頭が熱くなってくる。
ああ、これだから嫌だったんだ、二人になるのが。
我慢してたのに…折角また会えたんだからって、辛気臭い話はなしにしようって……決めてたのに。
「…お前、何年や…覚えとるやろほんまは。…誤魔化したらあかん、何年戻れんとおったんや」
『……千八百…今年で七十七年』
「!!!!…何回…死んだ…、お前…そんな…?」
『…覚えてない。でも多分、年超えた回数よりも、もっとずっと…私帰りたかったの。帰れないって分かってて…分かってるのに………初めて死んだ時に、初めて知った』
自分が死ねないんだってことを。
「…三回までならセーフ?」
『……したら殺してあげるわよ、この場で』
「敵わんなぁ…せめて抱きしめさせてや」