第26章 帰郷
「……けどお前、ちゃんと腐らず生きてるやんけ…大したもんやわ、その身体でようそんなに生きてたなほんま」
真子の言う身体というのは、私の身体が何で出来ているのかを知っているからこその言葉である。
『腐ってるわよ、とっくの昔から…そっちでは何年くらい経った?私は…体感的には数百年なんだけど』
「こっちはほんのちょっとやわ、二十年も経ってない…なんとあの一護と織姫ちゃんの間に子供が生まれてな?」
『ふぅん?…一護君、一心さんに似てのかなやっぱり……織姫ちゃんも懐かしい』
異世界同士では時間の流れが異なるために、このようなタイムラグが発生する。
あちらの世界では少しの時間だったそうだが…それでも一年や二年どころの話ではなかったために、私がどれだけ一人でさまよっていたのかは、恐らく暗黙的に皆分かっている。
「ちなみにルキアは恋次と結婚しおったわ、やっとやで」
『はいはい、皆結婚してるからって妬まないの』
「…お前のこと嫁にもらうつもりやったけど振られてもうたからなぁ…独身貫くわもう」
『…ひとつ言っておくけど、中也は…元々、尸魂界からついてきちゃった霊魂なのよ?』
言った途端に、バッとこちらを振り向く真子。
「お前…、それ……えっ、ほんまかそれ?そんなこと…」
『ほんと。…あの人の身体、地獄蝶が大元のひとつになっててね?それが、私と同じように…この世界の高エネルギー体と融合して、あの肉体を器にしてヒトとして形成されてるの』
「…まさか、それ狙って地獄蝶つけたわけやないやろな喜助の奴」
『よくよく考えたら有り得そうね』
その可能性は確かに否めない。
また今度確認してみよう…読心術も駆使しないと中々はぐらかして教えてくれないだろうけど。
『…で?なんでそんなに普通に接することができるの?…聞いたんでしょ』
「ああ?逆になんで態度変えなあかんねん、面倒臭い…変えるも何も、お前はお前のまんまなんやから」
『……じゃ、もうひとつ…なんで、“あの日”一緒にいてくれなかったの?…なんで、顔も見せてくれなかったの』
あの日…私があの世界から弾き出された日。
喜助さんや他の人達とは会えたのに、どこをどう探しても…扉を作っても、真子に会うことができなかった。
「…四十六室に乗り込みに行ってただけや」
『?…!?…え、ちょっ…な、なんで!!?』