第25章 収束への旅路
「痛いのはごめんだよ、知っていると思うけど…ねえ、そんなに意地はらなくてもいいじゃない。……怖いって言わなきゃ、私だって君に何をするか分からないのだよ?」
男なんだから。
なんて話しかける彼の言葉にも、何とも思わないし何も感じない。
髪留めとゴムを解かれて、上着を脱がされて、向かい合わせに座って…
目の前の相手からの視線にも、心が動かされない。
どうしてこの人を連れてきたのだろうか。
慰めて欲しかったから?
彼は理解者であるから?
どちらもそうで、どちらも違う。
答えは至極簡単で、どこかの誰かの気を引きたくて。
どこかの誰かを、そういうやり方で苦しめてやりたくて。
『…ッ、…ン……、ん…っ』
「…震えているじゃないか…怖いんでしょう?」
ツツ、と鎖骨を撫でる指に、身体が反応している気がする。
それでも構わない。
『怖くなんかな…っ、ぁ……、ッ…』
首元から掬うように頬に手を添えた彼は、優しく私のそこを撫でていく。
『…、…っ……ン、ぁ…、ッ…あ…、』
短く、どこか切ない吐息が繰り返し漏れる。
不定期に、リズムも悪く…出したくもないのに、それが止まらない。
「……あいつ、いつもこんな蝶ちゃん独占してるんだ?妬けるなぁ…触るよ?」
一言確認してから、私の胸の膨らみに触れ始める。
それを目を閉じて受け入れれば、それを合図にして彼の手が衣服をはだけさせていく。
ボタンを外して、開いていって。
「綺麗だね…本当に」
『…それ、嫌い』
「仕方がないだろう?事実なのだから…それとも何?中也からの言葉じゃなきゃ素直になれない?」
『そんな人知らな…ッきゃぅ…っ、…!?…ぁ、…っあ…、待ってっ、いきなりそんな…ッ!!!』
キュウ、とキツめに摘まれる胸の頂き。
唐突すぎるその刺激に思わず弱気な声が漏れ、目を見開く。
「怖いのなら、私を選んだ自分か…素直にならない自分を恨むんだね。なぁに、大丈夫さ…君の身体に少し教え込んであげるだけだから」
『な、っに…太宰さ、何するつも「私はあいつとは違うよ?君に優しく教え込むんじゃなくて、無理矢理調教してあげるんだから…ほら、まずその呼び方からなんとかしなくちゃね?…下の名前で呼んでごらん」!!!…ぁ、え…っ』
混乱し始める脳で、何かが危ないのを察知して。
しかし今更引けるはず…
