第25章 収束への旅路
『じゃ、じゃあ蝶、は…蝶は、その…っ、どうしたら…』
「あー…蝶さん?」
『ち、蝶は中也さんのだけど、そうなっちゃったら…でも、蝶は中也さんのだか、ら…』
オーバーヒートして頭が混乱してやがる。
これは悪い事をしたな。
「うん、お前は俺のだからな?それと忘れたか?俺もお前のなんですが…お前のもんが、お前が望んでねえのに勝手にどこかに行ったりすると思うか?」
『…中也さんいろんな人に優しくするから』
「えっ、何、まだ妬いてんのお前?一週間くらいこのまんまでいるか?」
『む、むむむ無理!!!恥ずかしすぎて蝶死んじゃ…ッ!!?』
えらく…素直になってることで。
「蝶…お前、ちっさい頃から俺のこと好きだったんだよな?」
『え…、あ、はい…、ッ』
「そろそろ知り合ってから九年程の仲にはなるわけなんだが……えらく、初すぎないか?」
流石にそろそろ慣れてくれても…いや、いいんだぞ?これはこれで役得だし。
なんて考えつつも蝶を見つめ続けると、蝶は視線を逸らして少し下に下げ、唇を震わせながら小さく心境を吐露した。
『そ、の…だ、って、中也さんが……い、いっつも好きにさせる、から…』
かっこいいこと、ばっかりして…いっつも、もっともっと大好きにさせるから
後半は最早まともに聞けたものじゃなかった。
愛おしすぎてもう愛で殺してやりたいこいつ、本当なんなんだもう、俺今日が命日かもしれねぇ。
「…俺が?…で、でもそれでそんなに…照れるか?」
『!!!…だ、って…わ、たしその……こんな見た目、なのに…中也さん、ずっと褒めるから…ッ』
「!!」
言われたところで、ハッとした。
そうか、そういうことか。
俺だって、以前にも増して日に日にこいつへの愛は増している自信しかないわけだが、どうも蝶は俺に大して恥ずかしがりすぎている節があった。
どういうことなのかと思ったら…そうか、そんなに簡単な事だったのか。
要するに、蝶が言いたいのはこういうことだ。
「そんなに嬉しかったのか?俺がお前のこと褒めてたの」
綺麗な色の髪…綺麗な目。
俺が無意識に少年時代に発し続けていた、“綺麗”という本音の言葉。
可愛いと言うのが照れくさくて言い続けていたこともあり、頻度は割と多かっただろう。
簡単なことだ。
「……そんなに珍しいのか?お前のこと、綺麗だって言う奴」
