第2章 暗闇の中で
__武装探偵社 社員寮__
あれから、事務所には寄らず寮に直接帰ってきた。
そして、思い出すのは別れ際のカルマ君。
本当にありがたい。周りに理解者がいるのといないのとでは、こんなにも心強さが違うのか。
夕食を食べ終え、入浴も済まし、後は勉強して寝るだけ……そんな中に響いた、インターホン。
__ピンポーン
こんな時間帯にここに来る人は一人しかいない。
そして、私はその人物のためにわざわざドアを開けに行く気はない。
『どうぞー、入ってきてくださいよ太宰さん?合鍵持ってるんでしょう?』
ガチャ、と音をたてて扉は開かれた。
「流石蝶ちゃん!よく私が来たって分かったね、もしかしてそれは愛のレーダー…」
『ないですから。』
「あああ!照れてるのかい?そんな君も可愛いよ!」
この人は全く…
『で、何のご要件です?私、今日は忙しいんですが。』
「ああ、そうだったそうだった。いやね?君が明日、中間テストだという事を聞きつけたので、分からないところなんかがあったら教えれるようにと思って来てみたのだよ。」
聞き間違いだろうか、この人は今、中間テストと言った…
『あの太宰さん、私一言もそんな事言った覚えがないんですが、誰から聞いたんです?』
「赤羽君だよ?」
『ああ、そうなんですか……って、ええ!?』
あまりにも自然すぎる受け答えに、スルーしかけた。
え、なんで太宰さんが赤羽君とそんな話をしてるんだ?
いつの間に?
「先程彼から事務所に連絡が入ってね?授業の進度が分かるようにと、色々教えてくれたのだよ。まあ、彼の進度だから、決まってる範囲よりも更に先へと進んでしまっているようだが。」
『事務所にですか!?明日皆にもお礼言わないと…』
「私には~?」
即座に太宰さんへと冷たい視線を送る。
「ほらほら、早く早く~!」
『…………ありがとうございます。』
「どういたしまして〜!てなわけで、私は今日、蝶ちゃんが勉強終わって寝るまでこの部屋にいるから、分からないことがあれば何でも聞いてくれ!」
驚いた。
そこまでしてくれるのか、この人は。
『じゃあ一つ目いいですか?』
「どうぞどうぞ!」
『なんで今日はいつにも増してそんな親切なんですか?気持ちわ……新鮮です。』
言葉のあやにしまったと思い太宰さんを見ると、既に涙目になっていた。