第24章 繋がること
「蝶ちゃん!?えっ、ちょ…中也君なんで泣かせるようなこと…!?」
「中也さん何言ってんすか!?んなこと言ったら…」
「違ぇよ、何勘違いしてんだ手前ら?阿呆か?阿呆だったな」
阿呆二人にそう返せば、似たような間抜け面でポカンとする。
『なん、で…?なんで、いていいの…?なんで誰も…ダメだって言わないの…っ、?』
「…お前がずっとずっと頑張ってきたからだ」
『!!!』
「あれれ、いいのかい中也それだけで?肝心な言葉が抜けてるけど??」
「っせぇな、俺からは再三言ってるしいつでも言えるからいいんだよ」
俺が顔を背けるとふ、と口元を緩めて、太宰は蝶に微笑みかけてそれを口にした。
「蝶ちゃんも、探偵社やマフィアや…組合相手なんかでも、何かあったら立場とか組織とか関係なく、なんとかしたいと思って動いちゃうでしょう?…それと同じように、皆蝶ちゃんが大好きなだけなのだよ」
『…で、も…そんな私情で……』
「社員全員の意見が一致してるんだ。最早これは組織の意思そのものだよ…この蛞蝓のところにいにくくなった時でも、誰かに会いたいだけでも、何か手伝いたい気分になっただけでもいい。君の居場所をなくしはしない」
『……いい、のかな…そんなにしてもら、って…ッ』
「それはさっき、中也が言っていただろう?いいんだよ、君ももう甘やかされて…」
結局は俺が言い聞かせていることと同じこと。
やはり誰しも、そう考えている。
だって、彼女は耐えてきたのだから。
誰かに縋ることもろくにできずに、こんな世界に渡ってくるまで生き続けるしかなかったのだから。
やっと我儘を口に出せたのだから。
ソファーについていた左手に小さな手が重ねられ、ありがとうと言われたような気がした。
指を絡めてやれば絡め返してきて、どこか力の抜けたような表情で微笑んでいる蝶が眩しかった。
もういいんだって、安心したような。
「ふふっ、いい表情だ…それじゃあ蝶ちゃん!復職と転職と在籍のお祝いにいっぱい甘い物を食べようか!!勿論中也の奢りで♡」
「俺が出すのは蝶の分だけだ、用が済んだならとっとと消えろ」
「そんなぁ!!?私さっき川に財布流されちゃって…」
『…じゃあ、太宰さんの分は私が出してあげ「よし蝶、好きなだけ食おうか。この木偶の分は俺に任せろ、んなもん気にせず食べることだけ考えてろ」はーい』