第24章 繋がること
「えっ、じゃあ今週末までここで手伝いするんすか?…学校休んで!?あの蝶が!!?」
「そうだ、あの蝶がだ。俺のところにいたいんだとさ」
「全く、言ってくれればもっと早くに考えてあげられたのに…健気な子だよ本当…」
「でも探偵社の社長もポートマフィアの首領も、それで納得してるんでしょ?やっぱすごいや蝶ちゃん、今までの人徳があってこそだね」
『…ねえ、立原とトウェインさんはまだ分かるけど…なんで太宰さんがここに?』
ここ…というのは、いつもの行きつけの喫茶店。
仲のよろしい立原とトウェインはたまたまお互い暇があったということで来ていたらしく、そこに合流したのが俺と蝶。
が、そこに少ししてから遅れて参戦しやがったのが青鯖野郎…太宰治だ。
「蝶ちゃんあるところに私あり、なのさっ!」
「気持ち悪ぃオーラ振りかざしてんじゃねえよ変態、散れ」
「昼間っから女子中学生連れ回していちゃいちゃして鼻の下伸ばしてる成人済み蛞蝓に言われたくないね」
「はぁ!!?伸ばしてねぇよ!!!」
『…蝶じゃ伸びない?』
「伸ばさねえようにしてんだよこの馬鹿!!!…っあああああもう!!!なんなんだ手前らのそのコンビネーション!?」
またやられた。
クソッ、これだから頭のいい奴らは本当に…
「ふふふ、これぞ兄妹の絆というやつだよ、去りたまえ変態」
『中也が行くんなら私も行「やはりここにいるんだ帽子置き場よ…」太宰さんってその辺はまだ学習しないのね?』
わざとだろうがな。
多分蝶も分かってる。
こいつなりのコミュニケーションだ。
「んで?そっちの社長が何だって?」
「!ああ、覚えていたか…だから、蝶ちゃんさえよければだけど……こっちに社員の籍だけ置いたまま戻るのはどうかって話」
『!…籍…を?』
この木偶も、こんなタイミングで現れるということはそれなりの話をしに来たということ。
じゃないと俺にまで会う必要がないからだ。
だから詳細を確認してみれば、そういうことだったらしい。
「成程な、要するに今とは逆の状態になるわけか…そっちも中々惜しいらしいなぁ?」
「本来ならこんな大局的な理念の組織なんだけれどね…蝶ちゃんの事情が事情だし、人も分かっているからこその判断だよ。何も今すぐ決断をさせるつもりはないのだけど…どうかな?蝶ちゃん」