第24章 繋がること
「成程、それで携帯の方から…ふむ」
「すみません…ただ、蝶らしいといえば蝶らしいんですが……様子がいつもと違う気がして」
「まあ、うん。なんていうかその…」
寝台の上で上体を起こし、中也さんの腕に両腕を回したまま、宥めるようによしよしと頭を撫で続けられている。
そんな様子を見て、首領は緩い表情で一言言った。
「ベッタリだね?いやぁ、可愛らしい」
「いや、はい…ほんとかわい『へ…っ!!?』なんでそんな反応してんだよお前は…」
いつもなら機嫌よくなるとかもう少し控えめな反応を…
いつもなら…?
単純に疑問に思った。
そうか、私の感じる違和感はそこか。
ぼぅっとした頭で、彼の方をチラリと見る。
「…!…俺の顔に何かついてるか?」
『!!』
ぶんぶん、と首を横に振ると、くしゃりと笑って笑い声が漏れてきた。
「ふむ…結論から言おうか?二人とも」
「結論から…!なにか分かったんですか!?」
「うん。今日君が稽古をつけていた子達の中に女性は一人だけしかいなかったからね…中也君のベストを調べると、すぐに判明したよ」
「そ、それで一体何が…!?」
「うん。まあ、成分的にどうなのかなって思ってただけで確証はなかったのだけれど…蝶ちゃんの様子を見て確信したよ」
____惚れ薬、盛られてるねこれは____
「惚れぐ…?な、なんでそんなものが…いや、蝶が俺に今更惚れ薬の効能発揮したところで無意味なんじゃ…」
「惚れ薬というか、あの子の異能なのだよ…その香りを認識してから一番最初に目を合わせた人物のことが好きになるっていう…」
そして、今回狙われたのは蝶ちゃんじゃなくて君の方。
異能の解除は、それなりに複雑な方法で相手のことを満足させてあげなければならない…分かるかな?
「いやいや、俺にその異能を使う意味が…」
「何か企んでいたのか振り向いて欲しかったのかはまだ質問中だ。…けど、まあ君が女の子相手にしてても目を合わせていなかった事だけは分かって複雑な気持ちだよ僕は」
「え…いや、目って……よくよく考えるとろくに知らない女の事を鍛え『誰、その人』え…あ、やべ…」
ねぇ、と目を覗き込む。
狼狽えるように顔をばっと離されれば、それに伴ってすさまじく胸がしめつけられた。
『知らない女の人に触れられたの?…私がいない時に一緒にいたの?』