第24章 繋がること
「蝶が大泣きしてるとか言いながらいきなり担任に連れてこられてみたらこれだぜ?なあ、誰かせめて俺に気付けや、この状況には微塵も怒ってねえし?な?」
『…中也さ、「蝶、お前暫く喋んな。だいたい分かってっから」……』
口をつぐんだ。
中也の方にも、行けなかった。
それよりも、カルマを止めなくちゃならなかった。
「あ、あのっ…その、カルマ…君」
口を開いたのは、渚君。
「…何」
「……なんで…降参、しなかったの?なんで、僕の攻撃わざと受けてまで…あんな風に、徹底的に認めさせようと必死だったの?…なんで、意識が飛びかけてたのに、諦めずにいたの…?」
「…わざわざ聞く?それ…全員もう分かってんのに」
「カルマ君の口から聞きたいんだよ…蝶ちゃんも」
「!…」
目が合って、それから少し俯いて、カルマは確かに口にした。
背負ってなんていないし、その為に戦っていたわけでもないと。
ただ、…と続けて彼は言う。
「……これ以上、蝶が何も背負わなくていいんじゃないかって。…蝶が、悩む必要ないんじゃないかって」
『…わた、し…?が…背負っ……?』
あまりにも予想外の反応に、困惑する。
てっきり、私の願ったことだからだと…私が望んでしまったから、必死になりすぎていたのだと思っていたのに。
「…ちょっとでもお前が生きやすいようにしてやりたかったんだろ」
『…!!』
中也の声に、再びカルマの方を向く。
どこからどこまで影響を受けたら気が済むんだ…止めていなかったら、どこまで彼は耐え抜くつもりだったんだ。
『た、…たかが、百年弱の人生…それもこんな年でそんな事考えるとか…あ、たまおかしい…っ』
「考えるよそりゃ…親友自称してんだからこっちは」
『でも…、……私のこと、考えて無理しないで…危険なこと、しないで』
「…ずるいよ本当、こんな時に我儘言ってくるとか。……中也さん、中也さんとこの子そっちに返すわ」
ポンポン、と軽く撫でれば、カルマは体から力を抜ききって仰向けに倒れる。
渚君との対戦にどっと疲れが出たのだろう…出ない方がどうかしている。
「返すって、一時的にも手前のもんになっちゃいねえよ…そういうことだ蝶、お前も考えすぎんなよ。…つか考えてもみろよ、この歳でこれより頭がおかしかった奴が一人いるだろ?」
『!!!…だから余計に心配なんだけど』