第24章 繋がること
結論から言うと、暗殺試合が始まってから暫く…殺す派も殺さない派も、残るは一人となっていった。
各々意外なスキルを見せた子や、何もできずに終わった子もいたりなんかして…けれど結局、皆どこかでこうなると感じていたのだと思う。
最後は多分、この二人が残るんだろうって…どっちが勝つのかなんか全く分からないって。
「カルマと渚…って……どっちが勝つと思う…?」
「そ、想像つかねぇよ…」
殺せんせーの元にいたからか、皆私の元に集まって、同じようなことを口にする。
まあ、そうだよね。
想像つかないものこんな勝負…“普通の”感性なら。
「……蝶ちゃん?」
「…もしかして、どっちが勝つか見えてるの?」
倉橋ちゃんと、カエデちゃんがそう聞いた。
それに全員が反応してこちらを見る。
『…分かるよ。どっちが勝つかなら…分かる。だって、こんなにいっぱい見てきたんだもん』
分かる。
どう転んだって…“勝敗なんかつかない”ってことくらい。
あの二人が戦っても、お互いを認めさせるための手段を選ぶのなら…絶対に勝敗はつかない。
何故ならばそれは簡単な話。
どちらも絶対に負けないから。
絶対に折れようとしないから。
例えば渚君がカルマを追い詰めたとしよう…またその逆だとしよう。
絶対に引かない、あの二人は。
『____特に、カルマは』
「!…蝶、ちゃん…?」
『絶対折れないんだよ…折れたくても折れられないんだよ、あの子は』
だからやめておけって言ったのに。
だからやめてって言ったのに。
渚君のねこだましによるスタンを見事に回避するも、渚君の戦略に陥って肩固めを決められる。
そんな彼を見ていて、私は一人で動き出していた。
一人で…勝手に体が動いていて。
肩固め…恐らく烏間先生に習ったもの。
完全に決まれば、相手の意識をも奪い取ることができるもの。
『…ごめん』
「え____…?」
トン、ッ___と、間抜けな音が一つ。
渚君の体が、まるで力が入らないというように…地面に腰をつけて、彼はポカンとこちらを見る。
「…っ、?…!ち、よ…?何を…____」
そして今度は、カルマが驚きを隠せなくなる番だった。
彼がしてくれたように…体格差が大きくて包み込むことは出来なかったけれど、それでも私は抱きしめた。
抱きしめて…涙を流すことしか出来なかった。