第24章 繋がること
『なんで、って…』
「それだけじゃない。他にもあるでしょ…中也さん伝いにだって聞いてるんだよ、俺」
『……皆が危ない、から…力になれるなら、なりたいじゃない』
「…俺も、一緒だよ……蝶が今、危ないことお願いされかけてたんだよ?耐えられるわけないじゃんか、そんなの」
危ないこと?
小さく、聞き返した。
何が危ないのだ、知識を提供したり能力を行使したくらいじゃ、私の身体にはなんともないというのに。
「自分の気持ち押し殺してでも、助けちゃうでしょ?…一回お願いされたら、それが達成できるまで、何でもしちゃうでしょ?」
『それは…まあ…』
「…どうしようもなくなった時、自分の命削ってまでしそうじゃん……延命させたらさせたで、一番それを殺せんせーに対して気に病んじゃうのも蝶自身じゃん」
どうしてそんなことまで心配する?
…なんで、私のそんなに深いところまで見抜いてくる?
見せないようにしてたはずなのに。
なんで?
延命させてしまう行為自体がタブーだけれど、それよりも私は生き延びてしまうことが苦痛で苦痛で仕方の無い人間だ。
だから、延命させることがいけないことだから、だなんてただの建前でしかなかったのに。
『……さっき、嫌いって言ってた…のに…?なん、で…そんな…』
「嫌に決まってんでしょ、蝶が優しいがために苦しい思いをまた重ねるのなんか…っ、……親友なめんなよ」
『!!!』
こんなに砕けた口調、初めてだった。
こんなに必死な訴えも…喧嘩も。
生き延びさせてそれに罪悪感を感じるなんて、滅多にあることではないのだろう。
しかし私は、確かに中也に口にした。
「……蝶、本当は…殺せんせーのことどうしたい?…何も思わないようになんか、出来っこないじゃん……殺せんせーのことを考えた結果でも、蝶のわがままでもいい……ねえ、せめて俺にくらい言ってくれない?わがまま…俺も今、頑張って無茶なこと頼んでるんだよこれ」
ずるい言い方。
流石は中也と一番交流があっただけのことはある…叶わないなぁ、やっぱり。
『…皆、聞いてるんだよ?……私…が言っちゃ、いけないんじゃ…』
「……ちょっとだけ、ごめん」
『へ……っ、!?…ッぅ…!!?』
力強く…震える腕で、抱きしめられた。
それと頭を撫でながら、私を素直にさせるように…ゆっくりと。