第24章 繋がること
「んんん…!!?…ま、待って中也君、もう一度聞いてもいいかい?その話」
「?はい…ですから、明日にでも二人で結婚しようかと思っ「明日!!?急だね、それも物凄く!!!」前から考えてはいましたからね」
『…いけない、ですか?』
「……こればっかりは、急すぎて驚きが…いや、けど蝶ちゃんも大人の女性だしねえ…」
分かっている。
恐らく、誰も反対しないって…反対なんてできないって。
私達二人の事を見てきた人なら尚のこと。
そして何より、私が戸籍を持ってはいないから。
良くも悪くも法に縛られない存在である私が誰と婚約したところで、戸籍上はどちらにも影響は及ばないから。
だからこそ、そのことも踏まえて彼は躊躇っていたのだろう。
しかし、それでも…結局は私の望むものになってしまっているのだが。
「…挙式は?」
「それは、約束通り蝶が二十歳を過ぎてからにしようかと」
「……名前はどうするの?」
『…元々、違うのはそこだけだったから』
「!…そう、だね」
寧ろ、今の状況で籍を入れていなかったから…苗字が違っていたから、意識していなかっただけ。
存在しない私の籍を、そう扱おうとしていなかっただけ。
とっくの前から、条件なんて満たしきっていたのに。
私には籍が存在しない。
言ってしまえばそれは、苗字を変えるのもその理由も、特に明確に第三者に提示する必要が無いということ。
彼が私に対して唯一躊躇っていたのは、苗字である“白石”を盗ってしまってもいいのかという点だった。
しかし、私からしてみればそれこそ杞憂なことであって。
私はこの人に生涯を誓われたその時から、この人のものなのだから。
「……傍から見たら親子のように思われそうだね」
「いいんですそれで、寧ろ学校的にはその方が…まあ以前から婚約状態だったわけですし、察しのいい奴なら分かるんじゃないかと」
『…首領に許可…もらえたら、浅野さんに相談しようか、って』
「なるほどね…うん、いや…なんというか……大きくなったねえ、二人とも」
優しい声色とその眼差しに、私も中也も、目を丸くした。
「こんなに喜ばしいことはないよ…二人がそうやって幸せになってくれるのが、何より僕にとっても幸せだ」
溢れるものをこらえて、二人でしっかり頭を下げた。
ありがとう、ございます
なんとかその言葉だけを紡ぎ出して。